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マーケットニュース

引用元:FiscoNews

    2020年03月29日

    街角景気の雑感【フィスコ・コラム】

    新型コロナウイルスの蔓延で世界経済がどれほど大きなダメージを受けるか、考えただけで恐ろしくなります。幸い、現時点で日本での爆発的な感染(オーバーシュート)は食い止められているようですが、このままピークアウトできるでしょうか。


    正体不明のウイルスによる被害は、欧米での急拡大が目立っています。特に、感染による死者数ではイタリアが中国を上回り、スペインがその後を追う状況です。さらにアメリカの感染者数は世界最多となり、ニューヨーク州など複数の州で外出禁止令が出されています。世界全体で感染者数は50万人を突破しており、増加の勢いはまだ止まる気配さえありません。


    金融市場が被害状況を手がかりに混迷に陥っているのは周知の事実。主要国から新興国まで、政府による財政出動や中銀の協調的な緩和策を次々に繰り出しているものの、リスク資産を整理する動きに歯止めがかかりません。NYダウはトランプ米大統領が就任した時の水準を一時割り込み、日経平均株価は年初来高値から8000円近くも下げる場面がありました。


    しかし、東京都内で生活していると、そう差し迫った緊迫感を持つことができません。近所の商店街をのぞくと、狭いカウンター席しかない人気のラーメン屋は、いつも通りの行列。周辺の商業施設も、それほど変わらない賑わいです。桜の名所ではブルーシートを使っての宴会はみられませんが、桜の花を楽しむ、正統な「桜を見る会」の様相です。




    日本のウイルス感染者数は、現時点でまだ2000人を下回る程度にとどまっています。実際の感染者数はもっと多いものの、それに気づかないうちに完治する、との医療関係者の見方もあります。感染被害はまだピークに達していないので、決して予断を許す状況ではありません。いずれにしても、今のところ医療崩壊を避けられているのが欧米との大きな違いでしょう。


    もちろん、日本経済がこのまま元通りに戻るわけはありません。リーマンショックの際、金融機関があまりサブプライムローンに関わっていなかったため、日本への影響も当初は限定的とみられていました。しかし、その後の世界経済の収縮が波及し、企業の業績悪化で国内経済が圧迫され、最終的にはマイナス成長となりました。ましてや、今回は東京五輪延期というマイナス要因もあります。


    とはいえ、昨今はウイルスと人類とのいわば戦争であり、生命と生活の両方を守らなければならない点でリーマンショックとは異なります。これだけ激しく世の中が破壊されているのですから、何か新しい発想が生まれるはずです。この先どれほど悲惨な将来が待ち受けているかといった論調で報道されたとしても、そればかりにとらわれて悲観的になるべきではありません。


    日本経済はバブル崩壊後、30年にわたり漂流し自信を失いました。外出の自粛などでコロナ被害を最小限に抑えることできれば、「失われた」時代からの再生のきっかけになるかもしれません。

    (吉池 威)

    ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


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