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上場企業インタビュー

深層レポート

投資家と新興企業が末永く幸福な関係を続けるためには

経営者が長期的ビジョンをもっているかどうかがカギ

 ヤフーに限らず、多くのベンチャー企業が上場後に株式分割を実施する。そのいちばんの動機は「流通する株の数を増やして株価を安定させたい」だろう。これは投資家に対するメッセージでもある。「短期的な値動きによるキャピタルゲインを追求するより、長期的な株価上昇を期待してほしい」ということだ。
 経営者が長期にわたって継続して成長していくためのビジョンをもち、投資家に対しても長期的な資産価値上昇という利益を提供しようとする。そんな姿勢の会社は株の長期保有の対象としていいだろう。
 そうした経営者の姿勢が社内に浸透し、企業カルチャーにまでなっているようなら、より有望だ。FPG投資顧問代表の下村三郎氏は「たとえばクラレやキユーピーなどのように、企業体質に『まじめさ』を継続できるDNAが組みこまれていることが長期保有の条件」と語る。

IR情報で収益の源泉から成長性を説明しているか

 経営者の姿勢にくわえて、成長性を確信できるかも重要だ。SBI証券投資調査部のシニアマーケットアナリスト、藤本誠之氏は次のようにアドバイスする。「割安株に投資するなら、銘柄を選ばず、一定の割安基準で選別した数多くの企業に投資するとよい。破たんする銘柄があっても気にする必要はない。全体のパフォーマンスで投資の成果を考えればよいからだ。しかし、成長株に投資するなら話は別だ。個別の企業を入念に調べて銘柄を厳選し、自分が『成長する』と信じられる企業に投資するべきだ」。
 では、どうやって成長性を調べるのか。日新火災海上保険の資産運用部で融資資金Gの課長代理を務める藤澤雅章氏は次のように語る。「いちばん重要な点は、収益の源泉がなにか投資家自身が理解できる企業を選ぶこと。企業収益の源泉の動向を理解・把握することが、保有継続か売却かの重要な判断材料のひとつとなるからだ」。
 投資家は、長期保有するかどうかのおもな判断材料を、その企業が開示しているIR情報から得る。従って、IR情報のなかに経営者の言葉によって長期的ビジョンがわかりやすく語られていたり、収益の源泉にまで踏みこんで成長性を説明する資料がそろっていれば、有望といえる。しかし、現状ではそこまで詳しいIR情報を開示している企業は少ないのが実情。アナリストたちも苦言を呈する。
「株主還元の方針をもっと具体的に示してほしい」というのは、マネックス証券のシニア・マーケットアナリスト、金山敏之氏。また同じマネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆氏は「会社説明会の募集を他社まかせにしないことが必要ではないか」と意見している。
 より基本的な企業の姿勢も問題視されている。「四半期決算化などで昔よりも決算短信の要記載内容が減った。それをいいことに、以前は開示していたデータを出さなくなった企業がある。開示のガイドラインは『最低限』を設定しているだけ。それに従っていればよいというスタンスは改めてもらいたい」と、水戸証券の投資情報部情報課課長の岩崎利昭氏は語る。
 日本で米国並みの開示基準が求められるようになったのは最近のこと。まだまだ企業のIRに改善の余地はある。

「長期保有するなら大企業株」固定観念を破るときがきた

 一方で、投資家側のものの見方も変えていかなければいけない。これまではベンチャー起業家を「成金」として批判的にみるむきが多かった。それを反映して、株式市場でも「長期保有するのは大企業の株。ベンチャー株は短期的な値上がりを期待するもの」という見方が大半だったのだ。しかしいま、日本経済を復活させるにはベンチャー企業が輩出される環境づくりが不可欠。それはアベノミクスの成長戦略の重点項目にもなっている。投資家が長期的観点からベンチャー株とつきあうことが、日本経済復活の一助にもなるはずだ。

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