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上場企業インタビュー

株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長 藤田 晋

経験知と人材力を武器に 挑戦し続けるベンチャー企業

経験知や人材にくわえ 制度と仕組みで他を圧倒

―インターネット黎明期に生まれたIT企業で、いまなお継続成長している会社は多くありません。なぜ、御社は継続成長できるのですか。

 創業以来、一貫して人材に投資し続けて、人間がもつ創造性、やる気、技術力をどう引き出すかに多角的に取り組んできたからです。
 われわれは人材こそ、会社の競争力だと信じています。ですから、ミッションステートメントで「有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現。」という一文を明記しているように、終身雇用を打ち出し、長く働くことを奨励する制度や仕組みづくりに力を注いできました。
 その結果、インターネットビジネスで経験豊富な人材を社内にたくさん抱えることができました。
 ネットという成長産業から軸足をブラさなかったことも強みです。ずっとネットビジネスの潮流のなかに居続けてきたので、なにをすれば成功して、どうしたら失敗するのか。われわれはそれを経験してきています。
 ネットビジネスの時の流れと重なる創業から17年の歴史のなかで蓄積した成功ノウハウと、経験豊富な人材がたくさんいること。それが継続成長の源泉です。

―それで、伸び盛りの成長産業であるネット市場において、いまなお挑戦し成長し続けるベンチャー企業というポジションを築けたのですね。

 ええ。ですから、新規事業で勝つ確率も高まっています。以前は立ち上げた新規事業が軌道に乗る確率は5割以下でしたが、いまは7~8割以上がうまくいっている、という感覚です。
 組織に蓄積された成功ノウハウと制度や基準の運用が相乗効果を生んでいます。

―さまざまな新規事業を生む仕組みを教えてください。

 代表例は、年に2回、合宿形式で開催する「あした会議」です。役員をリーダーとする7つのチームが日常業務を離れて新規事業の企画を練り上げ、競い合います。缶詰状態になって、具体的な人事や予算など、事業の細部まで詰め切ります。
 各チームの役員は、さまざまな事業部門から各分野に長けた社員を「ドラフト指名」してチームをつくります。各チームはその会議で新規事業のプランを3つ提案し、最後に私が採点して順位を決めます。中核事業であるゲーム事業も、この仕組みによってスタートしました。
 こうして新規事業を生み出す仕組みが機能する一方で、立ち行かなくなった事業をみきわめるための撤退ルールを定めています。

撤退ルールがあるから 必死になれる

―なぜ、撤退ルールをつくったのですか。

 どれだけすばらしいアイデアでも、うまくいかない場合はあります。しかし新規事業は、ともするとバクチ打ちのように、ダメだとわかっているのに固執してしまい、次はうまくいく、次こそ大丈夫となり、雪だるま式に損失がふくらんでしまう場合があります。それを避けるため、撤退ルールを明文化しました。
 具体的な内容は、事業の性質によって違いますが、「開始後1年半以内に黒字化できなかったら撤退」「2四半期連続で減収減益になったら撤退」など、具体的な数値目標を設定しています。数値目標は、市場の変化に対応して、適時見直しています。
 この撤退ルールは憲法のようなもの。これまでの経験やノウハウが凝縮されています。撤退ルールがあるからこそ、担当者は必死になって考えます。

―経営陣みずからが本気でコミットし、透明で公正な撤退ルールを設けているから、成功する新規事業を生み続けられるのですね。一方で、小学生のためのプログラミングスクールである「CA Tech Kids」、子育て中の女性のためのソーシャルクラウドサービス「mama&crowd」といった社会貢献性の高い新事業も開始しています。その理由を教えてください。

 社員数が3000名を超え、売上も営業利益も社会を意識する規模になりました。毎年、継続的に若い人の雇用を生み、利益を出して日本経済に貢献すること以外にも、当社ならではの社会的な取り組みも考えたいと思うようになりました。
 この2つの新規事業には手応えを感じています。「CA Tech Kids」の担当者に聞くと、映画に出てくるようなプログラミングの天才少年、天才少女は、現実にいるそうです。そうした子どもたちが増えて、日本からも未来のザッカーバーグが登場できたらいいですね。

藤田 晋(ふじた すすむ)プロフィール

1973年、福井県生まれ。1997年に青山学院大学経営学部を卒業後、株式会社インテリジェンスに入社。翌年の1998年に株式会社サイバーエージェントを設立し、代表取締役社長に就任。2000年3月には当時の史上最年少(26歳)で東証マザーズに上場を果たす。著書に『渋谷ではたらく社長の告白』(アメーバブックス)、『起業家』(幻冬舎)など。

企業情報

設立 1998年3月
資本金 72億300万円(2014年6月末現在)
従業員数 3,165名(2014年6月現在)
上場年月日 2000年3月24日(東証マザーズ)
決算期 9月末
事業内容 Ameba事業、インターネット広告事業、スマートフォンゲーム事業、投資育成事業
URL http://www.cyberagent.co.jp/

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