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上場企業インタビュー

カルビー株式会社 代表取締役会長 兼 CEO 松本 晃

あと30年は増収増益を 続けなければならない

グローバル化に おける3つの指針

―カルビーグループはアジア地域を中心に、積極的な海外展開を進めています。グローバル化についての基本指針を聞かせてください。

 国内の成功体験を海外に持ち出しても、うまくいきません。グローバル化で成功するために欠かせない要素が3つあります。
 ひとつめは、コスト。「おいしいから売れる」という理屈は通りません。その国でお客さんが払ってくれる値段を見つけて、コストを適正化します。ふたつめは、スピード。たとえば、もともと中国には「スナックを食べる」という習慣がありませんでした。ところが、ここ数年ものすごい勢いで市場が成長している。海外メーカーの対応も速く、こういったスピードについていかなければ成功は難しいでしょう。
 そして最後に、現地化。仕入れや商品開発はもちろん、経営者や従業員も現地の人材がいい。本社はサポートに徹します。

―なぜ日本人よりも現地の人材がいいのですか。

 どの国の人材も、本来もっている能力は同じだと思いますよ。ただ、現時点では、少し日本人が劣勢です。あまり勉強しない、一所懸命働かない、人件費が高い。すると、現地の人材を使うほうがうまくいく可能性が高いわけです。マネジメント側を日本人で固めるやり方は、とっくの昔に終わりました。

―松本さんが考える、経営者に必要な条件を教えてください。

 わたしは、次のように考えています。まず、すべての基盤になるのは倫理観。わかりやすく表現するなら、「おてんとさまが見ている」と考えることですね。たとえば、制限速度が時速50㎞の道路を51㎞で運転してもいいでしょうか? たとえ人が見ていなくても、おてんとさまが見ているのでルール違反はいけません。法律は国によってバラバラですが、基本的な倫理観は世界共通です。
 2つめは、地頭。学力や学歴とは関係ありません。むしろ、みんな頭が良すぎるから、経営を複雑にしてしまう。すると、理屈を従業員が理解できず、戦略が実行できません。だから、私みたいに〝中の上〟くらいの頭が経営者に向いているんです。理屈をシンプルにすると、従業員が納得してついてきてくれます。

最初から株主利益を 追求したらうまくいかない

―みんなが納得し理解できる倫理観とシンプルな理屈が組織を動かすのですね。

 そうですね。そして、3つめはコミュニケーション力。話の上手下手ではなく、人から好かれることです。4つめは、トラックレコード。過去に圧倒的実績があると、成功する確率が高い。5つめは、論理的思考力。相手を納得させる力です。これは地頭が悪くても、身につけられます。
 そして最後は〝徳〟。「あの人のためなら」と周囲に思わせられるような高い人間性です。

―それらを実践してきたから、国内市場の縮小と競争激化という悪条件のなかでも増収増益を達成し続けることができたのですね。

 もともとカルビーという会社にポテンシャルがあったからです。私はそれをちょっと引き出しただけ。だから、5期連続の増収増益はなんでもないこと。少なくとも、あと30年は続けないといけません。

―グループビジョンにはステークホルダーの最後に株主が記されています。なぜ株主第一主義ではないのですか。

 上場企業として、最終的には株主への利益還元をめざしています。でも、そのためには最初から株主利益を追い求めたらうまくいかないんですよ。その理由は、短期的視点におちいって中長期の戦略が実行しづらくなるから。もうひとつは、不祥事を起こす可能性が高まるからです。株主のために今期の利益向上だけをめざしていると、いつか不祥事を隠したり、粉飾決算をしかねません。
 あとは結果ですよ。「従業員が大事、コミュニティが大事」なんて理想を語っても、結果が出なかったら経営者はクビ。それは株主が決めることです。

松本 晃(まつもと あきら)プロフィール

1947年、京都府生まれ。1972年に京都大学農学部修士課程を修了後、伊藤忠商事株式会社に入社。1993年にジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル株式会社(現:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)に入社。代表取締役社長、最高顧問を歴任後、2009年6月にカルビー株式会社の代表取締役会長兼CEOに就任。

企業情報

設立 1949年4月
資本金 119億4,600万円(2014年3月31日現在)
従業員数 3,341人(2014年3月31日現在:連結)
上場年月日 2011年3月11日(東証一部)
決算期 3月末
事業内容 菓子・食品の製造・販売
URL http://www.calbee.co.jp/

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