上場企業と投資家をつなぐ
成長企業の経営戦略が読める情報誌
IPO・IR支援企業

あいわ税理士法人 代表社員/公認会計士・税理士 石川 正敏

ホールディングカンパニー体制

2015年に新規公開した企業数は6年連続増の92社。IPO市場が活気づく一方、上場前後の勢いをその後も継続し続けることは容易ではない。外部環境の変化を克服し、成長を続ける企業には成長戦略にどのような共通項があるのか。上場準備からIPO後まで、税務サービスを通じてワンストップの成長支援を提供しているあいわ税理士法人の代表を務める石川氏など同法人の3名のプロに、継続成長している企業の秘訣を聞いた。

※下記はIR通信vol.4(2016年2月2日発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

組織再編という成長アクセル

―IPOによって一定の資金力と組織力を得た企業にとって、どのような〝成長の壁〟がありますか。

石川 新たな事業領域への進出やグローバル展開、積極的なM&Aなど、IPO前では困難であったダイナミックな経営への転換が重要な課題になります。また、現代のような変化の激しい経済環境のなかでは、迅速な意思決定や行動といった、スピードを重視した経営も追求すべき。ここを見誤ると、いわゆる〝IPOゴール〞となってしまい、上場後も続く企業競争のなかで埋没してしまうリスクさえあります。

―〝ダイナミックな経営〟と〝スピード経営〟の両立を図る必要があるのですね。それを可能にする方法はありますか。

杉山 組織再編という方法があります。たとえば、類似事業を切り出して事業会社化し、持株会社を核としたグループ経営を推進するホールディングカンパニー体制への移行が代表事例です。事実、それによって成長スピードのアクセルを踏みこもうとする企業が増えています。

―ホールディングカンパニー体制のメリットを聞かせてください。

石川 ホールディングカンパニー体制は、親会社である持株会社にグループ全体の意思決定機能を持たせ、事業子会社に各事業における責任と権限を付与する体制で、これによりグループ全体の経営効率が高まるといわれています。親会社はグループ全体の戦略に特化することで迅速な意思決定が可能となり、事業子会社は担当する事業に専念することが可能になるからです。

 特に、産業構造や市場環境が異なる事業を展開している場合には、事業群(セグメント)ごとに会社を分けることで、事業子会社での意思決定を速めることができます。

圡屋 M&Aなどにおいても、合併などの手法よりも、ホールディングカンパニー体制化での株式取得などの手法の方が、構造変革のスピードを速めることが可能になります。

 そのためホールディングカンパニー体制は、IPOを実現し、さらなる成長のために積極的に新規事業に打って出る経営者にとって、有力な成長戦略の選択肢のひとつとなっています。

ホールディングカンパニー体制を成功させるコツ

―ホールディングカンパニー体制に移行する場合、どのような事項を検討する必要がありますか。

杉山 すでにグループ企業を多数有するケースにおいては、グループ各社の事業を統合・分割・整理することにより、グループ全体の経営の効率化・最適化を図る必要があります。

 その手法として合併や会社分割、現物分配などの組織再編の手法を用います。加えて、上場企業では開示対応も必要になりますので、事前の入念なスケジューリングが欠かせません。

石川 また、ホールディングカンパニー体制の検討のなかでは、移行後の収益シミュレーションを行います。特に親会社が事業を行わない「純粋持株会社」の場合には、親会社には事業収益が計上されませんので、事業子会社から収受する経営指導料の設定やグループ企業内における不動産の賃料設定など、グループ内取引の条件設定を適切に行うことで親会社の配当原資を確保する必要があります。

 また、移行の検討においては会計・税務面からのシミュレーション・問題点の検討に加えて、管理体制(コンプライアンス)の構築など、経営管理面からの検討も必要です。

―会計・税務面については、どのような項目を検討する必要があるのですか。

圡屋 まず検討項目としては、会社を持株会社と事業会社に分社する際の手法の検討などが挙げられます。会社分割や株式移転、事業譲渡など、それぞれの手法についてメリット・デメリットを検討する必要があります。そのほか、各事業のスタートアップ時の貸借対照表の設計や、持株会社と事業会社間の取引価格の設定など損益計算書の設計なども欠かせません。

 税務面においては、ホールディングカンパニー体制のメリットを最大限に発揮させるため、連結納税の検討が必要不可欠です。

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

IR通信メールマガジン

IR通信注目の上場企業やIPO予定企業などの最新情報をお知らせします。

ご登録はこちら

IR通信

IR通信

IR通信は上場企業と投資家をつなぐ「成長企業の経営戦略が読める情報誌」です。

定価:1,066円(税込)

IR通信への掲載・取材希望の方

IR通信編集部では、"成長企業の経営戦略を読む"というテーマのもと紙面に登場いただける経営者の方を募集しております。

pagetop