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株式会社あしたのチーム 代表取締役社長 高橋 恭介

目前に迫る“戦後最大級” の「働き方改革」人事評価制度の整備が急務に

※下記はIR通信vol.5(2016年11月9日発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

労働制度改革を受け、人事戦略の大きな転換が迫られる企業に対し、「人事評価制度の整備が急務だ」と指摘するのが、あしたのチーム代表の高橋氏だ。これまで約750社で人事評価制度の導入を支援してきた同氏に、人事評価制度の重要性やこれからの時代に企業が求められる人事・労務のあり方などについて話を聞いた。

法規制のゆくえ次第で残業問題が重い経営リスクに

―現在、企業が抱えている人事戦略上の課題を教えてください。

 最大の課題は思うように人が採用できないということです。売り手市場の傾向は年々強まっており、採用活動にこれ以上コストをかけても獲得効果が出ない、いわば飽和状態に陥っています。したがって、これまで採用活動に予算やエネルギーを集中投下していた従来の人事戦略は、抜本的な見直しを迫られている状況です。

 それにくわえて、昨今の政府による労働制度改革の動きが加速してきた影響も、企業における人事戦略見直しの機運を高めています。

―その影響とは具体的にどのようなものでしょう。

 労務管理のあり方が厳しく問われるようになってくるということです。具体的には長時間労働の是正に向けて、さまざまな法改正が行われ、その運用が目まぐるしく変わっていくでしょう。たとえば、労使間の残業規制である〝36協定〞。本来は月45時間、年間360時間以内と定められていますが、例外を認める〝特別条項〞によって事実上、形がい化しています。規定の残業代が支払われ、労働者本人が健康で納得さえしていれば、無制限の残業すら違法性が認定されないからです。ここには確実にメスが入るでしょう。残業自体に法規制がかけられ、ある一定以上の残業は「違法」と断罪される公算が大きい。

―残業に規制がかかれば、多くの企業に深刻な影響をおよぼしそうですね。

 ええ。残業が処罰の対象となるようなことにでもなれば、最悪の場合、倒産にもつながりかねない経営リスクになるといっても過言ではありません。財務諸表や決算書、キャッシュフローといった従来の経営指標だけでは、企業価値は判断できない時代になるでしょう。

 企業の人事部門の中心的な業務には採用・評価・教育・労務の4つがあります。この4大業務のうち、これまでは採用が重視されてきたのは指摘したとおりですが、今後は労務の優先順位が一気に高まり、人事部門もこれに対応した動きが必要になってくるわけです。

評価制度により魅力が増せば採用力が高い会社になれる

―どういった対応が求められますか。

 人事評価制度の整備が求められてきます。評価を基軸とした人事戦略こそ、いま指摘した2つの変化への対応策になりえるものです。

 たとえば、採用市場が飽和状態にあるならば、今後は人材の定着に注力する必要が高まります。既存社員の流出を防ぎ、獲得したわずかな人材にも辞められないようにする工夫です。そのために必要なのが、社員の満足度を高める適切な評価制度なんです。

―どのように評価するかは難しい問題ですね。

 そうですね。ただ、ときにはマイナス査定を含めた絶対評価であること。それは大事なポイントです。政府による一連の労働制度改革には、労働生産性を高め、日本経済の国際競争力を高めることが狙いとされています。そのためには、成果主義を強めていかざるを得ません。ハイパフォーマーが動機づけされるような成果主義の仕組みはいま、だれもが求めているものです。

 一方、経営者の立場からみると、成果が上がらない人間の給与が下がらないのに、成果を上げた人間の給与だけを上げていくなど持続可能なわけがない。マイナス査定・不利益変更なくしてプラス査定を創出することはできません。

―労務が重要になるという変化に対する効果はいかがでしょう。

 人事評価制度には、業務成果への評価を受けて、その結果を後の指導に活かす仕組みが盛り込まれています。この指導を再三にわたって重ね、改善を促すことこそ労務管理の根幹です。評価制度が労務管理に効果を発揮するゆえんです。

 たとえば、当社が提供するクラウド型の人事評価システム『コンピリーダー』であれば、いつ、だれが、どんな指導を受けたかという痕跡が入力ログの形ですべて残ります。そのログが労務管理を適切に実施してきたエビデンスになるのです。

―そのような指導は社員への教育効果もありそうですね。

 そのとおりです。評価結果を受けて行われる指導は、社員に行動変異を促す教育プログラムそのものです。評価と教育が一体化した仕組みを実現したうえで、さらに労務リスクにも備えることができる。それがクラウド型人事評価制度『コンピリーダー』の実力です。

 社員〝教育〞による労働生産性の向上が業績の拡大をもたらし、正当な絶対〝評価〞で賃金に反映してくれるので、一人ひとりがイキイキと働き、〝労務〞上の問題もない。そんな魅力的な会社になれれば、自然と〝採用〞力は上がってきます。「まずは人事評価制度を整えて、魅力的な会社になってから再度採用戦線で戦い直しませんか」というのがわれわれの提案なんです。

HRTech企業から“Ed Tech企業"へ

―あしたのチームでは新しい人事評価システムを開発し、まもなくサービスインするそうですね。その概要を教えてください。

 名称は『新コンピリーダー』です。その特徴をひと言でいえば、自動化です。これまで当社のコンサルタントが企業を直接訪問し、人事評価の基準となる目標設定や添削、評価、査定といった実務をサポートしてきました。こうした運用支援(BPO)業務を人工知能(AI)によって自動化したのです。50万シートにおよぶ過去の人事評価のビッグデータの解析結果に基づいて、AIがクラウド上で評価シートを自動モニタリングし、適切なアドバイスを提供するというものです。

 それによって労務管理だけでなく、人材の教育などビッグデータを活用した新しい機能が実現されます(詳細は次ページを参照)。

―あしたのチームの成長戦略を聞かせてください。

 教育機能を新たに実装した『新コンピリーダー』の登場により、当社はHRTech企業から教育分野の〝EdTech企業〞に脱皮し、より大きな市場へと飛躍していくことになります。売上、導入実績はともに大きく拡大していくと予想しています。当社が『新コンピリーダー』によって提唱している新しい評価制度は普遍性が高く、世界のどの地域でも受け入れられる合理的なものだと自負しています。そのため台湾に次いで、2017年1月にはシンガポールにも拠点を開設し、本格的なグローバル展開を開始する計画です。これに合わせ、IPO計画も策定しており、その準備を着々と進めています。

―人事戦略のあり方を模索する企業へメッセージをお願いします。

 人事評価データの提出が転職時に義務付けられるように、人事評価データが社会インフラを形成する世界が、そう遠くない未来に迫っていると確信しています。とくにIPOを目指すような会社にとって、人事評価制度を整備し労務リスクを減らすことは、必須となっていくはずです。人事評価制度を導入し、人事戦略の根幹に据えていく必要性がいまほど高いときはありません。

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

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