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上場企業インタビュー

ヤマシンフィルタ株式会社 代表取締役社長 山崎 敦彦

建機用油圧フィルタの首位 国内外の有力メーカに供給

小さな力で大きなパワーを発揮する油圧システム。建設機械をはじめ、航空機、船舶、自動車、発電装置などの 駆動や制御には欠かせないシステムだ。ヤマシンフィルタは、建機の油圧システムを稼動させるのに 必要不可欠な基幹部品である油圧フィルタの分野で圧倒的な首位に立つ“グローバルニッチトップ”。 代表取締役社長の山崎氏に同社の強み、今後の成長戦略などを聞いた。

※下記はIR通信vol.3(2015年8月11日発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

建機メーカと 同じ目線に立つ販売戦略

―国内ライン(新車向け製品) 採用率シェア70%と他社を圧倒している要因を教えてください。

 まず、顧客である建設機械メーカから高度な技術力が支持されていることです。当社は創業期からフィルタのキーパーツである「ろ材」の自社開発に着手。世界初のガラス繊維ろ材を使用したフィルタを製品化するなど、技術力を磨き続けてきました。他社がろ材を仕入れ、製品化するのに対して、当社はろ材も自社開発しています。ろ材を自社開発し、製品化も手がけているのは世界でもまれなケース。だからこそ、建機メーカごとに異なる仕様にきめ細かく対応した製品を供給できるのです。
 また、エンドユーザが交換時に使用する油圧フィルタ(補給部品)を建機メーカの純正品として建機メーカにのみ販売する戦略を一貫してとってきたことで、彼らとの強固な信頼関係が構築されています。

―建機メーカをはさまない方が売上を伸ばせるのではないですか。

 企業経営において大切なのは利益。世界中に存在する当社製品のエンドユーザに販売するための拠点整備や人員確保などの販売コストを差し引くと、売上は伸びても最終的な利益はそれほど多くはありません。むしろ建機メーカへ直接販売することで、固定費がかからず、新車販売が減速しても、もうひとつの柱である補給品販売により、景気減速リスクをヘッジできます。
 さらに、建機メーカと同じベクトルを目指すことにより、建機のライン用に当社製品を安心して採用してもらえるというメリットも生まれます。

信頼関係が成長エンジン

―そこにどのような優位性があるのですか。

 ライン用の採用率が上がることで、アフター市場(補給部品市場)での販売機会が結果として増大するのです。
 ライン用は建機の出荷台数に左右される一方、アフター用の市場規模は建機稼働台数と稼働時間に比例しているため安定しているとされます。出荷台数は景気変動などで年によって振れ幅がありますが、市場に存在する稼働台数は年々増えているからです。一見、アフター市場を自社で攻略した方がよさそうに思えますが、長期的な視点に立てば得策ではありません。

―なぜですか。

 ライン用の採用率を低下させ、アフター市場でも苦戦することが予想されるからです。
 アフター市場を建機メーカとフィルタメーカが奪い合う構図になれば、建機メーカは特定のフィルタメーカとの取引を敬遠するでしょう。その結果、ライン用の採用率が上がらず、アフター市場向けの補給用純正品の取り扱い点数も増えません。
 一方、補給部品を建機メーカの純正品として販売すればアフター市場でのさや当てを心配する必要はないので、当社製品をライン用に安心して採用してもらえます。その結果、自社製品の販売機会が拡大します。
 当社の油圧フィルタ売上高比率はライン用と補給部品がほぼ半々ですが、当社売上の大きな柱のひとつである補給部品の製品販売を確立できた背景には、建機メーカとの信頼関係を大切にしてきたことがあります。こうした建機メーカとの強い信頼関係は、中国市場における潜在需要を掘り起こす取り組みにつながっています。

―どのような取り組みですか。

 エンドユーザ向けの純正品啓蒙セミナーの開催です。中国に進出している国内建機メーカと一緒に年間200回以上行っており、2009年から2013年までのセミナー動員数(累計)は4万5000名を突破しました。
 開始したのは約10年前。中国市場で模倣品が大量に出回り、深刻な問題を引き起こしていたことがきっかけです。不純物や水などを取り除き油圧システム本来の性能の発揮をサポート、故障を防止することが油圧フィルタの役割なのですが、粗悪な模倣品のせいでシリンダーが破損するなどの重大トラブルが頻発していたのです。

―安物買いの銭失い、ですね。

 模倣品のせいで高価な部品や装置を壊すより、少々価格が高くても純正品を使った方が結果的に安くつくので合理的。こうした純正品の価値は、地道な啓蒙セミナーを建機メーカと一緒になって粘り強く継続してきたことで、確実に中国市場でも認知されるようになりました。実際、セミナー開始当初に比べて純正品使用率は年を追うごとに改善しています。

山崎 敦彦(やまざき あつひこ)プロフィール

1953年、東京都生まれ。1980年に東京大学を卒業し、同年4月に株式会社小松製作所に入社。同年5月にヤマシンフィルタ株式会社取締役に就任。1982年にヤマシンフィルタに入社し、取締役経営企画室長に就任。取締役営業部長を経て、1990年に代表取締役社長に就任。

企業情報

設立 1956年4月
資本金 8億2,200万円(2015年3月期現在)
従業員数 357人(連結:2015年3月末現在)
上場年月日 2014年10月8日(東証2部)
決算期 3月末
事業内容 建機用フィルタ・産業用フィルタ・プロセス用フィルタおよび関連部品の製造・販売
URL http://www.yamashin-filter.co.jp/

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