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上場企業インタビュー

カルビー株式会社 代表取締役会長 兼 CEO 松本 晃

あと30年は増収増益を 続けなければならない

国内市場が縮小するなか、5期連続の増収増益を達成したカルビー。
その立役者がジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社(日本法人)の代表取締役などを歴任し、
同社にスカウトされた会長兼CEOの松本氏だ。
日本人の「プロ経営者」のパイオニアのひとりである松本氏に、
増収増益を実現できる理由や企業と株主の関係のあり方などを聞いた。

※下記はIR通信vol.1(2014年8月22日発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

目標を営業利益率の 向上に絞りこむ

―経営トップに就任以来、増収増益を続けています。どのようなアプローチで打ち手を考えたのですか。

 まず業績が低迷している原因を人に求めず、仕組みに着目しました。前任者を否定して人事を刷新する経営者もいますが、なんの意味もありません。

―増収増益を実現させた仕組みについて、具体的に教えてください。

 まず集中購買によって、単価を下げたり、ムダな購入を減らします。購買コストが下がれば利益が出ますが、すぐにとりこんではいけません。コストを下げたら、商品価格を下げてお客さんに還元するんです。
 すると市場シェアが上がり、工場の稼働率が上がる。稼働率が上がると、固定費が下がる。その利益は自社に取りこむ。簡単な理屈ですよ。最近は仕組みをくわしく説明するのが面倒になって「集中購買でコストを下げました」なんて言っていますが、はじめから理屈を組み立てていました。それにそって当たり前のことを、ただ粛々と実行しているだけですよ。

―工場の稼働率を上げれば、利益率も上がるわけですね。

 稼働率と固定費の相関関係をみなさん意外とわかっていないようです。多くの人は、たいてい変動費をいじりたがります。
 もともとカルビーは営業利益率が低い体質でした。目標は食品企業の世界標準15%ですが、いっぺんに上げるのはムリ。まずは10%を目標にして、それを達成する方法を考えたのです。もし目標まで30%離れていたら、すべての工場をフル稼働しても足りません。目標が10%だからこそ、この手法を実行しました。じつに帰納的でシンプルな思考法です。

―目標をひとつにしぼったこともポイントですね。

 ええ。アレもコレもといっぺんに指示を出したら、従業員が混乱します。だから、いちばん大事な利益にしぼる。なかでも営業利益率がわかりやすいでしょう。
 カルビーも一時期は「コックピット経営」なるものをやっていました。事業ユニットごとの膨大な数値データをグラフ化して毎週更新。全従業員に共有して、さまざまな判断に活かす手法です。理論的には間違っていませんが、複雑すぎます。ジェット機内のようなたくさんの計器は読めません。いまは指標を減らした「ダッシュボード」に変えました。車のダッシュボードは計器が少ないですよね。ドライバーが確認しているのは、スピードメーターとガソリンの量くらいです。

成長を続ける方程式は 品質×価格×営業力

―とくに注意深くチェックしている項目を教えてください。

 各指標の成長をみています。利益の成長、売上の成長、EPS(1株あたり純利益)の成長。あとは工場稼働率、製造原価率、マーケットシェア。それくらいですよ。指標が多すぎると知恵が出てきません。
 数字は正直です。急に増えたり減ったりする現象には、必ず理由がある。それはなんなのか。自分で仮説を立てて、現場に行って検証する。仮説が正しければ、それにそってアクションを起こす。これも単純なことです。

―数字を分析して、どのようなことがわかりましたか。

 たとえば、地域別・商品別の売上を分析するなかで〝売れる理由〟がわかってきました。
 まず当社の商品でいちばん大事なのは「おいしさ」。しかし、これは必要条件にすぎません。十分条件は「価格」です。くわえて、店舗に商品を置いてもらう「営業力」がないと、なかなか売れません。
 以前は「モノがよければ、黙っていても売れる」という考えが社内にありました。しかし、これはおごりでしょう。いい商品をつくる、買いやすい値段にする、それをしっかり売る。当たり前のことですが、この基本を徹底することが重要です。

松本 晃(まつもと あきら)プロフィール

1947年、京都府生まれ。1972年に京都大学農学部修士課程を修了後、伊藤忠商事株式会社に入社。1993年にジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル株式会社(現:ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)に入社。代表取締役社長、最高顧問を歴任後、2009年6月にカルビー株式会社の代表取締役会長兼CEOに就任。

企業情報

設立 1949年4月
資本金 119億4,600万円(2014年3月31日現在)
従業員数 3,341人(2014年3月31日現在:連結)
上場年月日 2011年3月11日(東証一部)
決算期 3月末
事業内容 菓子・食品の製造・販売
URL http://www.calbee.co.jp/

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