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上場企業インタビュー

ユナイテッド株式会社 代表取締役会長CEO 早川 与規

スマホへの移行に先んじた変化対応力の高さで成長を続ける

拡大するアドテク業界のなかでも、高い成長率を誇るユナイテッド。その理由は他社に先んじてのスマートフォン領域への参入。「3年後は予測できない」といわれるITビジネスで高い変化対応力によって成功したのだ。さらなる成長に向けた戦略と、そのための組織強化の取り組みを同社代表の早川氏に聞いた。

※下記はIR通信vol.2(2015年2月25日発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

国内初のスマホ特化型DSPとSSPを展開

―RTB広告事業の業績が、国内におけるRTB広告市場全体よりも高い成長率で伸びています。要因はなんでしょう。

 他社に先んじてスマホ領域に参入したことです。
 RTB広告は、拡大しているインターネット広告分野のなかでも、いまいちばん伸びている広告手法。従来の手法に比べてターゲティングの精度が高いので、費用対効果を重視する広告主のニーズが高まっています。
 そのなかでも、スマホ領域はとくに成長率が高い。当社はそこへ2012年4月に参入しました。当時はちょうどPCのRTB広告がビジネスとして育ってきたところ。各社ともそこに注力しており、スマホはまだ手つかずの状態でした。「いかに特色を出していくか」を考えたときに、今後間違いなく普及率が高まるスマホ領域に特化しようと決めたのです。
 もともと当社はフィーチャーフォン領域の広告事業などで実績をあげていたので、モバイル広告事業のノウハウはありました。それにくわえて、早い段階からスマホに特化して事業を展開してきたことで、技術や運用面でノウハウを蓄積できました。

―その結果として、広告主や広告代理店、そしてメディアからも「スマホのRTB広告ならユナイテッド」という信頼を得られたわけですね。しかし、アドテク分野は群雄割拠だと思います。そのなかでの強みはなんですか。

 メディア側のプラットフォームであるSSP「AdStir(アドステア)」においては、国内最大級の規模があることです。先行者メリットを活かし、他社に先がけてメディアへの働きかけを行った結果、早くから関係を築くことができ、国内最大級の広告在庫量を確保しています。
 豊富な在庫量は、広告主(デマンド)側のDSPにとっても大きな魅力。ですから、「AdStir」はDSPとの接続数も、2015年1月時点で国内最大級の18DSPにのぼります。それだけマッチング率も高い。
 また、当社はDSPの「Bypass(バイパス)」も展開しています。DSPにおいては徹底して広告パフォーマンス向上を追求しています。これまでに積み上げてきたノウハウを応用して、広告効果が最大化する多様なテクノロジーを導入。ダイナミックリターゲティングやネイティブ広告のRTB配信など、新しい配信手法にもすばやく対応しています。
 その結果、当社のRTB広告事業は、2014年3月期第2四半期から2015年3月期第3四半期まで6四半期連続で増収を継続しています。

スマホメディア事業も収益を伸ばす

―その一方で、スマートフォンメディア事業も好調ですね。

 はい。RTB広告事業は今後も着実な成長を見込んでいます。それと並ぶもうひとつの事業の柱が、スマホメディア事業です。
 スマホメディア事業においては、2010年からスマホ向けアプリの自社開発に取り組んできました。有料・無料を問わず、さまざまなアプリの企画・開発を進めた結果、ヒット作も生まれました。代表例が米国を中心に2015年1月時点で全世界3500万ダウンロードを突破した「CocoPPa(ココッパ)」。ユーザーによって作成・投稿されたさまざまなアイコンや壁紙を使って、自分のスマホ画面を好きなように着せ替えられるものです。
 姉妹アプリのアバターアプリ「CocoPPa Play」が増収を牽引しており、また2014年12月にホームアプリ「CocoPPaホーム」をリリース。CocoPPa 関連サービスとして大きく育てていきます。
 そのほかアフィリエイトメディアやキャリアマーケット向けアプリにくわえ、2015年3月期第3四半期にはカジュアルゲームアプリやアイドル応援アプリ「CHEERZ(チアーズ)」などの新規サービスも投入し、多様なサービス構成によって事業全体の成長加速をめざしています。
 RTB広告事業とスマホメディア事業。いずれにしてもスマホ領域を主戦場として、より大きな利益の創出に努めていきます。

すべてのメンバーが自ら変われる組織をつくる

―大きな成長のために必要なことはなんでしょうか。

 変化への対応力です。インターネットビジネスは、3年後がどうなっているか誰にもわからない世界。中長期での見通しはしっかりともつ必要がありますが、事前に立てた予測にしばられて変化に即応できなくては生き残れません。
 当社の場合、フィーチャーフォンからスマホへのシフトではうまく変化に対応できました。当時、これほどのスピードでスマホ移行が進むとは予想しづらかったと思いますが、当社は先んじてスマホ領域に進出することでうまく成長軌道に乗ることができました。
 今後も成長を続けていくには、メンバーの一人ひとりがいかに早く変化に対応できるかにかかっています。成功体験に固執せず、未来を見すえて、新しいやり方に挑戦していく。変化を先どりして自ら変わっていくことが重要です。

―競合他社との人材争奪戦も激しいと思います。採用や育成の方針を教えてください。

 採用では、いたずらに大量採用に走るのではなく新卒も含めて当社のビジョン、ミッションに賛同する人材を厳選しています。そのうえで社内の環境を整え、チーム全体として力を発揮できる企業文化を醸成していくのが経営者の役割だと考えています。
 とりわけ、職種や役職の垣根を越えたチームとしての一体感をつくりだすことに注力しています。変化への対応力のある組織においては、メンバーはいつ誰となんの仕事をするかわかりません。新しいチームが編成されたとき、お互いにユナイテッドのメンバーなのに「はじめまして」というあいさつからはじまるのか、すでにお互いのことを十分にわかっているのかで、そのチームのミッションを達成するまでのスピード感がまったく違います。
 また、一体感があることは、変化を先どりするような新しいアイデアを生みだしていくうえでも必要です。担当する事業や職種も異なる人たちとのコミュニケーションのなかで、新たな気づきを得ることが多いからです。
 そもそもユナイテッドという社名に「ひとりで完結する仕事はない。チームで成果を出していこう」というポリシーをこめています。

優秀な人材の挑戦意欲を満足させる仕組み

―具体的にどんな手を打っているのですか。

 たとえば「U-Start」という制度があります。これは一定以上の実績を出した幹部メンバーの起業を支援するもの。自分のやりたい事業を立ち上げ、ユナイテッドとの共同出資で新会社を設立できる。成功をおさめればユナイテッドがそのメンバーの持ち株を買いとることにしているので、経済的なリターンを得られます。ユナイテッドとしては優秀な人材がグループ内にとどまって起業できる機会を提供し、メンバーの新たな挑戦を応援できる。
 現在、適用第一号として、30代前半のスマホアプリプロデューサーがフォッグという会社を立ち上げました(代表取締役・関根佑介)。ユーザー参加型のアイドル応援アプリ「CHEERZ(チアーズ)」をリリース。大きく成長させようとしています。
 社内のコミュニケーションを深める施策もあります。硬軟取りまぜたコンテンツがつまったWeb社内報「みないと!」の発行や、「交流ランチ」「UNIGHT(ユナイト)」の開催などです。交流ランチとは、給料日の前日、社員をランダムにグルーピングし、指定されたメンバーとランチに行くと会社からひとり1000円が支給されるというもの。UNIGHTは同じ月に生まれた人同士がともに祝うバースデイパーティーです。

利益の収穫期に入ったが将来への投資も続ける

―全社の中長期的な戦略を聞かせてください。

 RTB広告事業とスマホメディア事業の2本柱は、着実に成果が出ています。いまは「利益の収穫期に入った」と位置づけていて、売上高と営業利益をさらに拡大していきます。
 足もとの短期的業績も向上させる一方で、中期的な成長持続と、飛躍的な拡大のためのタネまきも並行して取り組んでいます。新規事業への投資や将来にわたって成長するための仕組みや企業文化づくりにも力を入れていきます。

―投資家に向けてメッセージをお願いします。

 事業環境の変化が速いインターネット業界でしっかりと変化を先どりして成長していく。
 その先にある「日本を代表するインターネット企業になる」という大きなビジョンの実現に向けて、チーム・ユナイテッド一丸となって挑戦を続けていきます。

早川 与規(はやかわ とものり)プロフィール

1969年、新潟県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後の1992年に株式会社博報堂入社。米国へのMBA 私費留学、株式会社サイバーエージェント取締役副社長兼COOを経て、2004 年に株式会社インタースパイアを設立。企業合併を経て、2012年にユナイテッド株式会社の代表取締役会長CEO に就任。群雄割拠のアドテク業界で独自のポジションを築き、高い成長を続けている。

企業情報

設立 1998年2月
資本金 26億9,600万円
売上高 61億5,687万円(2014年3月期:連結)
従業員数 216名(2014 年3 月末現在:連結)
事業内容 メディア事業・RTB広告事業
URL http://united.jp/

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