上場企業と投資家をつなぐ
成長企業の経営戦略が読める情報誌
上場企業インタビュー

株式会社リアルワールド 代表取締役社長 菊池 誠晃

業界研究 クラウドソーシング業界

さまざまな事情を抱え、働きたくても働けない約4500万人の非労働人口。それがクラウドソーシングの登場により動きだそうとしている。働き手と企業の関係を変え、労働力不足の解消に貢献することが期待される急成長中の新産業のなかでも注目すべき領域はBPO市場に特化したマイクロタスク型だろう。

※下記はIR通信vol.2(2015年2月25日発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

クラウドソーシングが急速に普及した社会変化とその未来

さまざまな事情を抱え、働きたくても働けない約4500万人の非労働人口。それがクラウドソーシングの登場により動きだそうとしている。働き手と企業の関係を変え、労働力不足の解消に貢献することが期待される急成長中の新産業のなかでも注目すべき領域はBPO市場に特化したマイクロタスク型だろう。

(注2)クレンジング:集積したデータシステムが想定している正しいデータに修正すること。たとえば電話番号のデータを「03-9999-9999」との形式で想定しているシステムの場合、「03(9999)9999」や「0399999999」などの数列を想定形式に修正する。ビッグデータの活用をするために欠かせない作業とされる

働き手と企業のニーズが合致し急速に普及

 日本で〝クラウドソーシング〞という言葉が一般的になったのは2011年の東日本大震災以降。被災地において在宅ワークやテレワークへの需要が高まり、試験的に利用する企業が増えたためだ。
 クラウドソーシングのクラウドとは〝群衆(crowd)〞の意味。インターネットを介して不特定多数の人々にアクセスし、必要な人材を調達する仕組みだ。
 企業はオフィスや作業スペースなどの固定費がかからない低コストの労働力を必要なときに必要なだけ確保でき、働き手は好きな時に好きな場所で仕事ができる、という魅力がある。「地方に居住しながら東京の企業の仕事をする」「介護や育児などで通勤困難な人が、自分の都合にあわせて仕事をする」といった働き方を可能にする。
 働き手と企業のニーズが合致した結果、震災以降、クラウドソーシング市場規模(クラウドソーシングサイト上での業務委託企業による仕事依頼金額)は右肩上がりに急成長している。矢野経済研究所の推計によれば、2011年度は約44億円にすぎなかったが、2014年度は約408億円と約10倍に成長。2018年度には1820億円に拡大すると見られている。
 少子化で労働人口が減少するなか、国もクラウドソーシングの普及に期待する。総務省の調査によると、主婦や高齢者など、非労働人口は国民の約3人にひとり、約4500万人に達する。
 そうした非労働人口が〝すきま時間〞を使い、クラウドソーシングを利用して働けば、人手不足時代における貴重な戦力に変わるからだ。

国内だけでも2兆円規模の潜在市場

 黎明期から普及期へ。急速に伸長するクラウドソーシング市場だが、業界地図は早くも3つに大別される。
 ひとつは、エンジニアやWebデザイナーなど、専門的スキルをもつワーカーと仕事のマッチングに特化したタイプ。それにデータ入力などの軽作業の仲介も手がける総合型。
 そして、大規模案件のBPOに特化し、どんな複雑な案件も細分化することで単純労働化するマイクロタスク型クラウドソーシング(以下、マイクロタスク)の3類型だ。
 このなかで、今後の伸びがもっとも期待されているのがBPO特化型だ。国内BPO市場は2017年には3.7兆円に拡大すると見られているが、最大でそのうちの60%、つまり約2.2兆円がクラウドソーシングにリプレースされる可能性があるからだ。
 クラウドソーシングに詳しい東京工業大学大学院の比嘉邦彦教授は「クラウドソーシングとは経営資源に対して開国を迫る『黒船』。人が移動するのではなく、仕事が移動する。活用できる会社は有効な手段として経営能力を高める一方、できない会社は従来の方法で不利な競争をすることになる」と話す。
 これまで日本企業は、人材や技術を自社で囲い込むことにより成長してきた。しかし、マイクロタスクの登場で、ノンコア業務はもちろん、コア業務ではあるが自社で抱え込むと高コストで効率の悪いタスクを社外の人材にまかせられるようになった。実際、ビッグデータをあつかう企業では、自社で行うと高コストで時間のかかる(注2)クレンジングをクラウドソーシングでまかなう動きが加速している。
 BPOに特化したマイクロタスクは、クラウドソーシングの先進地である欧米にはほとんど存在しない。緻密な作業が得意な日本人に向いている作業であるため、「BPOに特化したマイクロタスクは世界規模で見ても、日本企業の独壇場になる可能性が高い」と多くの業界関係者は話す。
 次ページでは、国内最大級の890万会員を擁し、国内におけるマイクロタスクの草分けとして2014年9月に東証マザーズに上場したリアルワールドを取材。産業としてのクラウドソーシングの可能性を探る。

菊池 誠晃(きくち まさあき)プロフィール

1978 年、愛媛県生まれ。大学在学中の1997年にWeb企画・制作を行う事業を立ちあげ起業する。2001年に株式会社サイバーエージェントに入社。2005年に株式会社リアルワールドを設立し、代表取締役に就任。2014年9月に東証マザーズに上場。

企業情報

設立 2005年7月
資本金 4億1,156万7,520円
売上高 27億6,652万円(2014年9月期:連結)
従業員数 約140名(2014年12月末現在:連結)
事業内容 クラウド事業、ポイントエクスチェンジ事業
URL http://realworld.co.jp/

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

IR通信メールマガジン

IR通信注目の上場企業やIPO予定企業などの最新情報をお知らせします。

ご登録はこちら

IR通信

IR通信

IR通信は上場企業と投資家をつなぐ「成長企業の経営戦略が読める情報誌」です。

定価:1,066円(税込)

IR通信への掲載・取材希望の方

IR通信編集部では、"成長企業の経営戦略を読む"というテーマのもと紙面に登場いただける経営者の方を募集しております。

pagetop